お知らせ

黒田絵美子先生 会長ご退任挨拶

2024.04.01

アメリカ演劇研究の新たな地平へ向けて

黒田絵美子

2022年度から本学会会長を務めさせていただき、3月末日をもって任期満了を迎えました。

昨年8月には、コロナ禍で対面での開催が中断されていた全国大会が4年ぶりに大阪梅田で開催できました。参加された会員の皆さまとは、月日の隔たりをまったく感じないほどに親しく集い、活発な意見交換とともに有意義な時間を共有することができました。

どんなにデジタル化が進んでも、舞台演劇は人が主役です。観客も実際に劇場へ足を運び、その空間に身を置いて、役者の息遣いや表情のみならず、照明、音響、舞台装置などを体感してこそ、「演劇」という体験が果たされます。

これは、学会活動も同様で、やはり、年に一度、二日間、会員たちが一堂に会して日頃の研究成果を披露し、熱く語り合う場は大変貴重なものであることを、昨年の対面開催再開を体験して痛感いたしました。

わたしは本学会の前身であった全国アメリカ演劇研究者会議の立ち上げ当時、大学院修士課程におりました。テネシー・ウィリアムズやアーサー・ミラー、ユージン・オニールといった作家たちの作品を夢中になって研究しておりましたが、ふと気づくと時代はひと世代以上が過ぎました。アメリカ演劇で扱われるテーマも多様性に富み、本学会の研究者の皆さまもそれぞれにユニークな研究を深めておられます。

長年にわたり、本学会を力強く牽引してこられた大阪大学名誉教授貴志雅之先生の多くのお弟子さんたちがしっかりと次世代を引き継いでくださる時が到来しました。

新年度からは、岡本太助会長のもと、日本アメリカ演劇学会の新たな時代の幕開けとなります。新体制での本学会がこれまで以上に発展していきますよう、わたしも演劇研究者として、また、舞台づくりの現場に関わる身としても引き続き注力してまいりたいと存じます。  2年間という短い間ではありましたが、会員各位の温かいご支援のもと、無事に次代へバトンタッチできますことに心より御礼申し上げます。

2024年3月31日